―黒の教団・司令室

 コムイがの検査から戻ってきた




 「検査の結果…どうだったんですか?コムイさん…」

 「待っててくれたんだね。二人とも。……結果なんだけどね……」

 「はっきりしやがれ!」

 「……君たちから先に連絡を受けてたから、
 大体予想してたことはあたってたんだけど……」

 「だからはっきりしやがれって言ってんだ!治るのか!治らないのか!!」

 「神田。少し落ち着いてください」

 「くっ…」

 「それ以前に…大変なことになったかもしれないんだ…」



 「大変な…こと?」

 「……!?」















  













 「おいコムイ!曖昧な話し方してねぇではっきり言ったらどうなんだ!」

 「大変な事って…何なんですか?」


 二人はコムイを問いただす


 「まずちゃんが治るか治らないか…」

 「「……」」


 二人は息を飲んだ…


 「…治らない確率のほうが高い。神田君には、非常に辛い事だろうけど…」

 「!!?何…だと……」

 「そんな!?嘘ですよね?」

 「嘘じゃないよ。ただの記憶障害じゃないからね…」


 「…なんでだよ……なんでが…


 神田は俯いて呟いた…


 「とりあえず、ちゃんの今の状況を説明するよ。
 大変な事の内容はそのあとでね」

 「はい。」

 「……」





 「簡単に結論を述べてしまうと、今のちゃんは、過去のちゃんなんだ」

 「過去の…」

 「さん?」


 「そうなんだ。普通記憶障害っていうのは、
 体で覚えた事や情報がわからなくなることや、
 知識的なことがわからなくなることなど、いろんなパターンがあるんだけど、
 それは今までの人生の中で記憶したものがバラバラになって脳が混乱するから
 起こってしまうことで、状況が悪化しない限りは、
 そのバラバラになったものが元に戻れば、
 記憶は自然と元に戻るんだよ。悪化すれば戻らないこともあるけど…」


 「は違うのか?」

 「全然違うよ。ちゃんは消えかけてるんだ」

 「記憶が…ですか?」

 「そう。普通の記憶障害だと、情報がバラバラになるだけだから、
 酷い場合でなければ脳の中に全て情報はあるんだ。
 けど、君たちから聞いたアクマの能力は記憶を消す事。
 消滅しかかったるんだよ。ちゃんの記憶が。」

 「消滅!?」

 「そんな…」

 「しかも、一日やそこらじゃない…。あのちゃんは、
 4・5年前…14・5歳の時のちゃんだ…。
 そこからこっちの記憶が、多分ないんだよ。
 今のちゃんからすると、僕たちは未来の人ってことになる…」

 「治す方法とかないのかよ!!」

 「ちゃん次第だと思うよ。
 思い出したいと思わなければ、完全に消えるだろうし…
 幸いまだ薄っすら何かがあるみたいだから、戻る可能性もある。
 確立はかなり低いけれど…」

 「……っ…」


 「………あの…、どうして4・5年前ってわかったんですか?」


 アレンは、辛そうに俯く神田を見つつ、コムイに聞いた




 「今の彼女の性格、かな…。それが、大変な事につながるんだ……」




 コムイは何かを思い出すかのように言った…






 「闇の年とか闇の二年……大体の人はそう言っているわ」


 「「!?」」

 「リナリー。帰ってきてたんだね。おかえり」

 「ただいま兄さん」


 リナリーが司令室のドアを静かに開け、悲しそうな顔をして中へと入った
















 



07/07/19