ピー ピー ピー


 薬品の臭いが漂う白い部屋に、機械音だけが途切れなく鳴り響く…

 神田とアレンに大した怪我はなく、この部屋に寝ているのはのみ




 「外傷も大したことないみたいですし、命に別状がなくてよかったですね」

 「…あぁ」


 二人はの寝ているベッドの傍で、が目覚めるのを待っていた














  













 「………………」


 神田はずっと心配そうにを見ていた


 「…そんなに心配しなくても、さんはすぐ目を覚ましますって」

 「………別にそんな心配をしてるわけじゃない。
 こいつがこれくらいじゃ死なねぇことぐらいわかってる」

 「じゃあ…何が心配なんですか?」


 神田は一息置いて…


 「………嫌な…予感がする…」


 眉間にシワをよせ、辛そうな表情で言った


 「嫌な、予感…?」










 それから30分が過ぎた頃……


 「……ぅ……ん……」


 に動きが見えた


 「!!…!」

 「さん!」


 「……ん………?…どこだ…ここ…」


 ゆっくり目を開け辺りを見回す


 「!大丈夫か?俺だ!…わかるか?」


 が必死に呼びかける神田を目で捉えた瞬間…



 「人間!!?な…何だ貴様!私から離れろ!!部屋から出て行け!」


 ものすごく怒りの現れた形相で怒鳴った


 「…!?…」

 「さん…どうしたんですか!?」

 「うるさい!今すぐ出て行かなければ消すぞ!」

 「どうしたんですか!?僕たちがわからな…」

 「いいから出るぞ。モヤシ」

 「え!?神田?」


 神田はアレンを引っ張りの顔も見ずに病室から出た


 「今の服……エクソシスト………。何なんだ一体…。
 それに…ここはどこだ……。
 なぜあの人間どもが私の名前を知ってるんだ………」






+++





 「っ…離してください神田!」

 「……」


 わけのわからぬまま病室の外に連れ出されたアレンは
 神田のする行動が理解できずにいた


 「さんどうしちゃったんですか!?
 それになぜ僕たちが追い出されなきゃ…」

 「殺されたかったのか?に」

 「……そんなわけないじゃないですか…」

 「今のあいつは、俺等の知ってるあいつじゃない」

 「それは…どういうことですか!?」

 「貴様や、消すなんて言葉、今までにあいつの口から聞いたことがない」

 「だから…なんなんです」

 「……お前が壊したアクマの能力は…
 相手の記憶を一時的に消す能力だったらしい。
 消える記憶が分単位か年単位かはコントロールが出来ないと言ってた。」

 「もしかして…さん…」

 「だがそれは一時的なものに過ぎない。
 長くても1時間しか能力は持たないとも言ってた」

 「1時間って……もうさんが攻撃を受けてから
 3時間以上はたってますよ!」

 「………」

 「なのにどうして……」

 「……恐らく…攻撃を受けた時の衝撃か何かで、
 本当に記憶が消えたんだろう…」

 「そんな……。」


 「…くそっ!俺のせいだ…。俺がもう少し速くの所に行っていれば……」


 神田はやり場のない悲しみを吐き出すように言葉として出した



 「…………」

 「……くそ……」

 「…神田…。辛いのはわかります。
 でも、自分を責めていても仕方ありません。
 同じ戦場にいた僕にも責任はありますし…」

 「……っ」

 「それに今は、自分を責めている場合ではありません…。
 ここにいてもさんは治りません。
 さんを連れて、教団に帰りましょう」

 「モヤシ…」

 「これはただの記憶喪失じゃありません。
 コムイさんに見てもらうのが一番です」


 「…あぁ」


 二人は教団へ戻るため、再びのもとへと向かった
















 



07/07/18