の部屋から出て自分の部屋へ戻る途中


 「ぁ!神田…」


 前方からアレンが歩いて来た















  














 「……」


 神田が無視して通り過ぎようとしたとき


 「神田!?どうしたんですか!服がボロボロですよ!
 それに血もたくさん…何があったんですか!!?」


 アレンが神田の姿を見て聞いてきた


 「うるせぇな。大声出すなモヤシ」

 「どうしたんですか?…この方向って…まさかさん…?」

 「……」

 「そうなんですね!とにかく手当てしないと!」

 「もう治った」

 「ぇ?」

 「絶対誰にも言うなよ」

 「ぇ…あ、でも」

 「それとお前はに近づくな」


 そう言って再び歩き出そうとした時


 「もう、それはリナリーにも言われましたよ;;」


 ははっと苦笑いで頭をかくアレン


 「…になんかしたのか…テメェ」


 キっとアレンを睨む神田


 「ぇ…あ…いや、さんが、記憶思い出す気がないって言ったんで、
 ついカッとなって、怒っちゃったんです…」

 「…(それでか…)」


 《「…白髪もお前も…記憶記憶と、ウザイ…ウザすぎる」》


 「(だからモヤシのことも…。あの時は気にも留めなかったが)」


 「神田?」


 無言でアレンを見る神田に、少し疑問を抱いたアレン


 「…」


 そして神田は無言で自分の行こうとしていたほうに歩いていった


 「ぁ!神田!………行っちゃった…
 あ!こんなことしてる場合じゃ。任務行かなきゃ…」


 アレンもすぐにその場を離れた








+++




 「あら〜ん神田。今日は遅かったのね?」

 「うるさい…」


 着替えて何事もなかったかのように食堂へ来た神田。
 誰も昨日殺されかけたなんて思わないだろう。
 ジェリーにもわかるはずもなく、普通に接してくる。


 「蕎麦ね?」

 「あぁ。二つだ」

 「あら。そんなにお腹すいてるの?なら大盛り…」

 「の分だ」

 「あ〜ちゃんの〜…………ってえ!?」


 突然大声で叫んだジェリー


 「何だうるさい。騒ぐな」

 「だ…だって今ちゃんは…あの時のって……リナリーが… 
 それに昨日の晩も今朝も部屋に入れてもらえなかったって…」

 「俺はに飯持ってこいって言われたんだ。さっさと作れ」

 「ぅ…うん。わかったわ。ちょっと待ってて」


 そう言い残してジェリーは厨房へ入った










 「はい。お待たせ」


 しばらくしてジェリーが蕎麦二人前を持ってきた


 「あぁ」


 両手に蕎麦を持ち食堂を出る神田


 「もしかして一緒に食べる…とか?まさかそんなことないわよね…;;」







+++





 「一緒に飯か…(そう言えば最近忙しくて一緒に飯食ってなかったな…)」


 神田はの部屋へ続く通路を歩きながらふと呟いて思った







 このままで、このままでいいんじゃないか?

 わざわざ苦しい思いして思い出させなくても…

 今のまま行けば、少しずつ前みたいに生活できるんじゃ…

 その方が、あいつにはいいかもしれない。

 俺のことはもう受け入れてる。それで全て成功なんじゃないか?

 あいつはもう一人じゃないんだ。の中にはちゃんと俺がいる















 



07/08/12