「ハッ…ハッ…ハッ………っ…痛っ」

 「アレン君無理しないで…」


 二人を抱えたアレンとは、当ても無く通路をさ迷っている…


 「ウォーカー殿…私は置いていってください。
 あなたもケガを負っているのでしょう…」

 「それはダメよ。アレン君。ユウのほう私が抱えるよ!
 なんたって私、怪力少女なんだから!」


 と笑顔で言ってみる


 「はは。女の子が自分でそんなこと言うものじゃないですよ
 僕は大丈夫です。なんてこと無いですよ!」

 「でも…」

 「とにかく、どこか手当てが出来る場所を探しましょう…
 ここがどこか全くわかりませんけど…歩いていたらきっと見つかるはずです」

 「そうね。…!?何か聞こえる…」

 「歌…?」



 「何故だろう…なんだか……
 すごく優しい、子守歌のような感じがする……」











  










 歌を頼りに歩いてみたら広い空間が見えた…


 「アレン君。あそこ少し広間になってる」

 「そうみたいですね」


 『私は人形だよ…?グゾル』


 「!?…え。」


 向かった先から、ふと聞き覚えのある声が聞こえた。


 「あの二人は…?」

 「私達がうっかり逃がしちゃったの…
 おじいさんの方が人形だって言ってたのよ…さっき…」


 『どうして自分が人形だなんてウソついたの?』


 「グゾルさん…ウソついたの…?」


 『私はとても…醜い人間だよ。ララを他人に壊されたくなかった。
 ララ…ずっと側にいてくれ。そして私が死ぬ時、私の手でお前を壊させてくれ…』

 『はいグゾル。ララはグゾルのお人形だもの。次は何の歌がいい?』


 グゾルが静かに涙を流した…


 「!!」


 ララとグゾルがたちの方に気づいた


 「ぁ…気づかれちゃった…」


 「あ…ごめんなさい。立ち聞きするつもりはなかったんですけど…」

 「グゾルさんじゃなくて、あなたの方がお人形さんだったんだね。
 すっかりだまされちゃったよ〜。」

 「………」


 ドン!ゴゴゴゴーー


 「「…へ!?」」


 ドーーン!!


 「どわたっ!!?」

 「ひえーーー!!?」


 ララが柱を持ち上げて振り下ろしてきた;;


 「ままま…待って待って!!」

 「落ち着いて話そ!ララさ……わっ!!!」


 ドーーーン!!


 ララはいっこうに攻撃をやめてくれそうにない…


 「聞いてくれそうにないな…。さん。二人をお願いします!」

 「ぅ、うん!」


 アレンは壁に二人を寄りかけ
 ララが持っていた柱を取り上げ、他の柱を壊した。


 「もう投げるものはないですよ。
 お願いです。何か事情があるなら教えてください。
 可愛いコ相手に戦えませんよ」

 「…………」

 「よかった…。おさまったみたいね…」


 「…グゾルはもうじき死んでしまうの。それまで私を彼から離さないで!
 この心臓はあなた達にあげていいから…!!」

 「ぇ………。…うん、大丈夫だよ!ララさん」

 「…!」

 「とにかく今は手当てが先ですね。話はそれからです。」

 「そうね。ユウも…このままだと死んじゃう…。
 ほ…包帯とか薬とかってあるの?でないと手当てしようにも…」

 「あれ…?さんのイノセンスって回復能力があったんじゃ…」

 「……………忘れてた…」

 「あはは;;」

 「でも……」

 「?」

 「私今日始めて自分でイノセンス発動させて…、やったのはアクマ一体倒しただけだから…
 回復とかってどうやればいいか…わからないよ…。」

 「じゃあ…。僕で練習しますか?」

 「え?何言ってるの?失敗したら……。
 私の手なんて今まで怪我させることぐらいしかしてきてないから…」

 「僕の傷そんなに酷くないですし、大丈夫ですよ。
 イノセンスは回数重ねないと使いこなせないですから」

 「…………うん…」


 はアレンに寄り、傷に手をかざした。


 「イノセンス…発動……。アレン君の傷を…治して…」

 「……」


 グローブは光をはなつものの、傷はいっこうに治らない…


 「や…やっぱり無理…」


 は発動を止めた…


 「シンクロ率の問題かな。でも…内側からは治ってる感じはありますよ」

 「…傷口開いたままじゃ…治ってるって言わないよ…。
 時間がかかりすぎてるし…これなら普通に手当てした方が早い…」

 「そんなに落ち込まないでください。内側から治ってるってことは、
 見かけだけじゃなくしっかり治してくれてる証拠です。
 練習して慣れれば、さんのイノセンスは、必ずみんなの役にたちます!」

 「アレン君…」

 「それにさんは今、不安なんですよね。
 怪我大きくしてしまったらどうしようとかいう思いがあって、
 うまくイノセンスが使えてないんだと思います。」

 「うん…。アレン君の言う通りだと思う…」

 「でも、初めてでこれだけ出来たらすごいと思いますよ!
 僕なんて…アクマを倒せるようになるまで…どれだけかかったことか…
 あのころのことを思い出すだけで目まいが……(泣)」

 「た…大変な思いしてきたんだね…;;アレン君…」

 「あ!こんなとこで目まいなんて起こしてる場合じゃないです…
 早くみんなの手当てしないと。とりあえずあるもので手当てをしましょう!」

 「うん。」


 「あ…あの…私もお手伝いします」


 後ろからトマが声をかけた


 「あ!トマさん!大丈夫ですか?」

 「は…はい。なんとか大丈夫です」

 「よかったです!」



 三人は、神田を中心に、それぞれの怪我の手当てをしはじめた










 



07/06/03