アレンがいる所から、破壊音が途切れなく続く…


 「何か…嫌な感じがする…。アレン君…大丈夫かな…。死なないよね」

 「いつまであいつの心配しているつもりだ」

 「だって仲間でしょ!」

 「どうだかな」

 「ユウ…そんなに酷い人だったっけ…」


 は悲しそうに言った…











  








 「地下通路?」

 「この町には強い日差しから逃れるための地下住居があるの。
 迷路みたいに入り組んでて知らずに入ると迷うけれど、
 出口のひとつに谷を抜けて海岸線に出られるのがある。
 あのアクマという化物は空を飛ぶ…地下に隠れた方がいいよ」

 「…」


 少女の方が地下通路について二人に話した。


 ジリリリリン

 ぴょこ!

 神田の襟から黒い物体が出てきた


 「!」

 「わ…何それ?可愛い…」

 「無線ゴーレムだ」

 「欲しいな…」

 「コムイに作ってもらえ」

 「はーい!」


 ゴーレムがパササっと音を立てて飛んでいる


 「トマか。そっちはどうなった?」

 『別の廃屋から伺っておりましたが、先ほど激しい衝撃があって
 ウォーカー殿の安否は不明です。』

 「!?」

 『そちらは、殿は大丈夫ですか?』

 「心配ない」

 『あ、今アクマだけ屋内から出てきました。ゴーレムを襲っています』

 「わかった。今俺のゴーレムを案内役に向かわせるから、
 ティムだけ連れてこっちへ来い。長居は危険だ。
 今はティムキャンピーの特殊機能が必要だ」

 『はい』

 「ね……ねぇ…。アレン君…は?」

 「いい加減怒るぞ。俺らは俺らのやるべきことをやればいい」

 「(すでにさっき怒ったじゃない…)……アレン君…」



 「さて、それじゃ地下に入るが道は知ってるんだろうな?」


 神田はを無視し、二人に尋ねた


 「知って…いる」

 「グゾル…」

 「私は…ここに五百年いる。知らぬ道は無い」


 そういいながらグゾルと言われた老人の方が帽子をとった…


 「「!?」」


 見えたのはボコボコの顔……とても人間と言えるものではない…。


 「くく…醜いだろう…」


 そう言いながらまた深く帽子を被る


 「……」

 「お前が人形か?話せるとは驚きだな」

 「そうだ…。お前達は私の心臓を奪いに来たのだろう」

 「できれば今すぐ頂きたい」

 「……」

 「!?」

 「デカイ人形のまま運ぶのは手間がかかる」

 「ち、地下通路の道はグゾルしか知らない!
 グゾルがいないと迷うだけよ!」

 「!」


 少女がかばうようにグゾルの前に立った


 「お前は何なんだ?」

 「私は…グゾルの…」

 「人間に捨てられた子供…だ!!
 ゲホッ…私が…拾ったから、側に…置いでいだ…!!!」

 「グゾル…っ」


 グゾルはゲホゲホと咳き込む…


 「………」

 「……!?(何だろう…何か変な感じが…)」


 はキョロキョロと周りを見た


 「神田殿、殿」

 「「!」」


 その時トマが後ろから声をかけた。
 これでアレン以外が合流


 「悪いがこちらも引き下がれん。
 あのアクマにお前の心臓を奪われるワケにはいかないんだ。
 今はいいが最後には必ず心臓をもらう」

 「「…」」

 「巻き込んですまない」

 「「………」」






 5人は狭い通路を歩く


 「ティムキャンピーです」


 トマがすっと出した手のひらには…


 「え…粉々…。大丈夫なの?ユウ」

 「心配ない。お前が見たアクマの情報を見せてくれ、ティム」


 突然粉がヴウウゥォンっと元のティムに戻って、口を開け映像を映す


 「ぅわ…ちょっと怖…」


 神田は、じーーーーーっと映像をみて…


 「鏡のようだ…」

 「はい?」

 「逆さまなんだよこのアクマ…
 見てみろ。奴がモヤシに化けた時の姿…
 服とか武器とか…左右逆になってる。
 切れた偽者もよく見ると逆…
 しかも偽者は中身はカラで360度外見だけのもの。
 ただ単に『化ける』能力じゃない…」

 「このアクマ、アレン君の武器を変形させて攻撃してるところを見ると、
 何かで対象物を写し取ってるみたいね…
 写し取った物を装備したら、能力も自分のものに出来るみたいだし…
 マズいもの取られちゃったね…アレン君…。大丈夫かな……今どこにいるんだろう…」

 「!」

 「!?…」


 が神田の言葉を遮り神田が言おうとしていた事をつらつら喋った


 「ぇ…;;;あ…思ったこと言ってみただけなんだけど…。
 えへへ………。あ…日本語だから…トマさん通じなかったよね…;;どうしよ…」

 「……;;」

 「と…とにかく。ウォーカー殿を探すべきでございました
 もしウォーカー殿が生きてても、現れた時本物かどうかわからないです」


 しゅんとして心配そうに言うトマ


 「それは大丈夫だろ。左右逆になってるんだからすぐわかる
 もしそんな姿でノコノコ現れたらよほどの馬鹿だな」

 「…!!(;;何だろ…また変な感じがする…なんか嫌な予感…)」


 何かの予兆のように、の背筋に一瞬寒気が走った…。






 神田・・トマが通路の曲がり角を曲がった時…


 「「!?…ふたりがいない!!」にっ…逃げやがった!!!」


 グゾルと少女がいなくなっていた…
 話をしていて逃げられたことに気づかなかったのだ…


 「くそ…あいつらどこに…っ」

 「どうしよう…ユウ…」

 「!!…神田殿、殿…後ろ…」

 「!?…」


 二人が後ろを振り向くと…


 「アレン…君?」


 そこにはアレンが立っていた…












 



07/05/31