―黒の教団修練場

 少女と少年、二人の新米エクソシストが修行をしている…
















  














 「ハッ!ホ!トリャァ!!」

 「っ…!(す…すごい…)」

 「おりゃぁあ!」

 「っ!!?」



 ドォオオォオン!



 少女が勢いよく少年を吹っ飛ばした



 「ぃててて…」

 「アレン君。わざと攻撃受けてくれなくていいんだよー」

 「ぃや…。わざとじゃないんですけど…」

 「まったまたー!毎回言ってるけど、手加減しなくていいんだからね」

 「…;(手加減もしてないんですけど…;)」


 少女は、少年アレンのもとへ歩み寄る


 「怪我した?大丈夫?」

 「これくらい大丈夫ですよ。というか修行のメインは怪我の治療じゃないですか」

 「あ、そうだった」


 は軽く頭をかく仕草をした


 「ちょっと本気で言ってるんですか?」


 苦笑しながらアレンが言う


 「冗談だよ!冗談」


 そういいながらはアレンの傍に座り
 怪我をしている所に手を当てた


 「…治癒」


 グローブのイノセンスが光り、
 ファァァっと緑色の光がアレンの怪我を包む


 「…それにしてもすごいですね。さん」

 「ん?あぁ、そうだねー。
 まだ修行初めて3日なのにもうイノセンスの感覚覚えてきたよ」

 「それもあるんですけど…」


 アレンがの顔を見て言う


 「…?」

 「闘い方……というか、力。闘いなれてるって感じです」

 「あー。ガキや悪人達と殴り合いとかしょっちゅうしてたしねー」

 「神田とは喧嘩友達って…」

 「そうだよ。私の方が強いの!」


 勝ち誇ったような笑顔で言う


 「え!?本当ですか!?」

 「昔はね。今はユウの方が強いでしょ。
 アクマとずっと戦ってきてるんだから。
 でもまたいつか絶対ユウよりも強くなって見せる!」


 上を向いて両手でガッツポーズをする


 「あの…さん、治療…」

 「わ!ごめん;;」


 ガッツポーズをした手を再び傷の方へ当てた


 「そういえば神田帰って来てるんですよね?」

 「うん。昨日の夜ね」

 「神田とも修行してみたらどうですか?
 今神田がどれくらい強いかわかるかもしれませんよ」

 「無理だよー。絶対」

 「どうしてですか?」

 「今のユウは何を言っても絶対ちょっとは手加減するもん。
 昔は手加減してなかったって言ってたけどね」

 「あー…。そっか」

 「まぁ、またユウと一戦交えたいと思ってるからいつかは修行したいけど、
 とうぶんはアレン君とがいいなーぁ」


 目線は傷にいっているものの甘え口調で言う


 「ぇ///ど、どうしてです?」

 「ん?んとね…」


 は傷の方を見ていたため、
 アレンの赤く染まった頬には気付かなかった


 「今の私の修行って治療がメインじゃない?
 ユウと戦って、ユウをボッコボコにするのは別に問題ないけど、
 その後治療する時になんかグチとか言ってきそうでやだ。
 アレン君はそんなことないもん。」

 「ボッコボコは問題ないんですか…;;(ってかそんな理由…。照れて損したかも)」












 「(うろうろしてるのも退屈だから
 たまにはココで体動かすか…)…ん?……っ!?」


 神田が何気なく修練場へ立ち寄ったら、そこには…


 「へーアレン君ってそんな大変な修行生活やってたんだー。アハハァ」

 「笑い事じゃないですよ!ホントに地獄だったんですから!」

 「わかってるよー!でも可哀想過ぎておもしろいー」


 がアレンとくっついて楽しく話している姿が…
 神田の位置からは傷を治療している様子は見えない



 「……モヤシィ…あいつ…(イラッ)」



 「(ビクッ)……;」

 「どうしたの?アレン君。治療…失敗してる…?」


 突然寒気がして振るえたアレンを、自分のせいかとは心配した


 「ぁ…いえ。違います。何かすごい殺気がしたような…気が…」

 「…?殺気…?……そういえば…何か変な感じが…」


 急に二人の場所に影がかかり暗くなる…


 「「!?」」

 「楽しそうじゃねぇか。何やってんだ?モヤシ」


 神田がものすごい形相でアレンを睨む


 「ぇ;ぃや…しゅ、修行ですよ。見ればわかるでしょ」


 アレンが治療している部分を指差して言った


 「修行…?」

 「そうよ。早くイノセンス使いこなしたいから、
 アレン君に修行付き合ってもらってるの!」

 「…」


 「もうだいぶ良いんで治療終わりましょうか」

 「うん。ありがとう!」


 「なんで俺を誘わねぇんだ…」


 神田はボソッと呟いた


 「何?誘われたいの?」


 イノセンスを止め、立ち上がり神田の方に向く
 アレンもゆっくり立った


 「…;今まで、喧嘩とか勝負とか、俺が付き合ってたんだし…」


 目をからそらして言う


 「そんな寂しそうな言い方しないでよー。
 もうちょっと修行して強くなってからね!
 でないと本気でやりあえないじゃん。ね?」

 「………」

 「今まで私とやりあった時手加減してなかったんでしょ?
 私ももちろんしてなかった。
 だからまたお互い手加減なしで勝負をしたいの」

 「そうか」


 「あれ?勝負するくらいなら出来るんじゃないんですか?
 さんの戦い方は普段通りみたいなものじゃ…」


 治療をメインとするイノセンスのため、
 勝負をすることは出来るのでは?とアレンは疑問に思った


 「別にこのイノセンス治療だけじゃないと思うよ。
 ちゃんと技も出せるはず!それに…」

 「…それに?」

 「イノセンス使いこなせば高速治療しながら戦えるじゃない。
 いくら攻撃受けてもすぐ戻る!
 これで勝ち目はグーンッと上がるのよー!!アッハハハハーァ!」

 バックに暗いオーラをまとった腹黒が降臨…

 「せこい作戦…だな;」

 「かなり不公平な勝負のような…」


 「っということでユウ!覚悟しとけーーーぃ!アーッハハハー」


 神田に指差し無邪気に宣戦布告をする


 「あぁ。臨むところだ(これは油断してるとマジやばいかもしれねぇな…)」


 「じゃあその時は僕も見学させてくださいね!」

 「OKーーー!」

 「はぁ!?モヤシはうぜぇから来るな!」

 「何ですかそれ。さんの修行付き合ってるのは僕ですよ!」

 「んなの関係ねぇ!」

 「ぅあ!二人とも喧嘩しない!!」





 わいわいとはしゃぐ三人。

 このとき彼等はまだ、この後科学班室長によって
 恐ろしい目に遭わされる事など知る由もなかったのである…












 



07/09/15