「え!何してるの!?ユウ」

 「ぁ?何って?」

 「いや、まだ安静にしてないといけないでしょ!」

 「もう治った」

 「えぇ!?そんなわけないでしょ!!」


 神田の看病のため病室に訪れたが見た光景は驚きのものだった…
 全治五ヶ月と言われたはずの彼がピンピンしていて、
 頬に張っていたガーゼを剥がしていた。
 しかも電話までしている…















  













 『いいねぇ青い空、エメラルドグリーンの海、
 ペルファヴォーレイタリアン♪』

 「…だから何だ」

 『「何だ」?フフン♪』


 「ユウ誰と電…」


 『羨ましいんだい!ちくしょーめっ!!
 アクマ退治の報告からもう三日!何してんのさ!!
 ボクなんかみんなにコキ使われて外にも出られない、
 まるでお城に幽閉されたプリンセ…』


 「わめくなうるせーな」

 「…………;;………コムイさんか…」


 すごい大きな声で叫んだのか、ベッドで話している電話の声が、
 ドア前にいたにもしっかり聞こえた

 「文句はアイツとに言えよ!  つかコムイ!俺アイツと合わねェ!」

 『神田君は誰とも合わないじゃないの』


 「…(私の存在忘れてるな……;
 ってかコムイさんって外出られないくらい忙しい人なんだ…)
 ぁ、じゃあ…。ユウ!」


 は何かを思いつき神田を呼んだ


 「ん?何だ?」

 「電話の相手コムイさんだよね?
 お土産にココの写真いっぱい撮ってくるからって、伝えて!
 あ〜…でも迷惑かな?」

 「……。コムイ。が土産にココの写真撮るんだと。
 迷惑か?って聞いてるぜ」

 『なーーー!!?本当かい?それは本当かいぃ!?
 全然迷惑じゃないよ!むしろ感激のあまり涙を流したいくらいだよー!
 ちゃんはなんて優しいんだ!神田くんとは全然違うよ』


 「うるせーな。聞こえてるからわめくな。
 、迷惑じゃねぇってよ」

 「そっかー、よかった!(全部聞こえてたんだけどね)」



 『楽しみだな〜。
 ぁ、神田くんはちゃんとは合わなくなることないのかな〜?
 アレンくんと同じ意見言っててもさ。
 もしかして友達以上だと思ってたりして〜vv』


 「な…!?///」

 「?」

 大声以外の普通の会話が聞こえないので、
 は突然焦る神田を見て何を話してるのかな?と首を傾げた


 『ヘヘン♪』

 「(イラ…)からかいやがって」


 そういいながらブチッと勢いよく点滴を腕から剥がした


 『ん〜?なんか言ったか〜い?』

 「なんでもねー!!!」


 神田はいきなり受話器に向かって怒鳴り声を上げた…



 「わ……;;ごめんなさい;ユウうるさくて…;;」

 「ぁ、いえ;;」


 はトマの所まで歩きながら小さな声で言った


 『ぁ、で、アレンくんは?』

 「ちっ!まだあの都市で人形と一緒にいる!!」

 『そのララっていう人形…そろそろなのかい?』

 「多分な。もうアレは五百年動いてた時の人形じゃない。じき止まる」

 「……ララさん…」


 は今会話している内容がわかり、
 しんみりとララのことを思い出していた

 その時。


 「ちょっとちょっと!何してんだい!?」


 ドクターが勢いよく部屋に入り神田に言った


 「帰る。金はそこに請求してくれ」


 神田は受話器をもったままドクターにそう言った。
 そしてトマが教団の名刺を渡す

 それを見たは、


 「!(わ!任務で出たお金って教団が払ってくれるんだ!
 任務中に食べたものとかお菓子とか、
 ゲーセンで遊んだりとかして出たお金もはらってくれるのかな?
 あ、不良と絡んじゃって全治何ヶ月とかの怪我させちゃったりしたら
 こっち負担だろうし…それも払ってくれるかな?
 それだったら食べ放題暴れ放題だよねv)」


 一瞬の間に自分勝手な事を考えた…


 「ダメダメ!あなた全治五ヶ月の重傷患者!!」

 「治った」

 「そんなわけないでしょ!!」

 「…(そういう反応になるよね!なるよね!私は間違ってなかった…)」


 驚きを隠せないドクター。  そしてそんなドクターの発言に共感する


 「世話になった」

 「!」


 神田はいつの間にやら包帯をほどいて服を着、
 トマと部屋を出て行った


 「!?(ユウの胸板萌///…じゃなくて;;傷が…)」

 「そ、そんなバカな…傷が消えてる…」

 「(何であんなに回復早いの!?
 それにあの胸の梵字…何?あんなのあったっけ?
 いや…そもそもユウの体なんて見たことないや…
 夏でもあんまりはだけた服の着方してなかったし…)」

 「あの、お嬢さん?行かないのかい?」

 「ぇ?」


 その場に突っ立って考え事をしていたにドクターが声をかけた


 「………ぁ!マズ…こんな所ではぐれたくないし!
 あの、お世話になりましたドクターさん。有難うございました!!」


 そう言って勢いよく部屋を出て二人を追いかけた













 「あ!いたいた」

 「!殿…付いてきてなかったので心配しました」

 「すいません;;」


 神田が何やら真剣な顔で話していたので、  は神田には話しかけずトマと小声で話した

 が、真剣だと思っていた会話が…


 「で、何の用だ。イタ電なら切るぞコラ」

 『ギャーーーーちょっとリーバーくん聞いた!?今の辛らつな言葉!!』

 『は?』

 「……;;」


 いつの間にやら真剣さの欠片もない会話になっていた…


 「ユウ!」

 「あ?何ださっきから、電話中に何度も話しかけるな」

 「とか言って答えてくれるじゃん。ってか大した話ししてないでしょ」

 「……」


 の後の方の発言に、怪訝そうにを見る神田


 「ぁ…なんでもない。(任務はあとララさんの中にあるイノセンス取るだけだし…
 そろそろ英語喋れるの言った方がいいかな…いいよね…;;)」


 「…?」


 「とりあえず行こ!アレン君待ってるし」


 「…あぁ」


 『ちゃんとの話終わった?神田くん』

 「ん?あぁ。何だ?イタ電なら切…」

 『違いますぅー!次の任務の…』






 サァーー



 「風…?」


 気持ち良い風が街に吹く…


 「(気持ちいいな…。なんだか暖かくて、優しい感じの風ね。)」



 は少しだけ立ち止まり、空を見上げた












 



07/08/17