―任務先へ向かう汽車の中

 の向かいに神田が座り、神田の隣にはアレンが座っていた。
 ちなみに二人の間に一人座れるくらいの妙な空間があるのは言うまでもない;;














  













 「………」

 「…大丈夫か?顔色悪いぞ」

 「到着までまだ少し時間ありますし、少し横になっていた方がいいですよ」

 「……大丈夫だ。気を使うな」


 窓の外を苦しそうな表情でずっと見ていたが気になり声をかけたら、
 明らかに大丈夫でないようは声で返事が帰った来た


 「大丈夫じゃねぇだろ。やっぱり任務来ない方がよかったんじゃ…」

 「うるさい。大丈夫だって言ってるだろ」

 「!?」

 「……(さんってこんなに神田に冷たかったっけ…)」


 窓の外を見たまま、怒っているのか辛いのか、
 神田に対して吐き捨てるような言い方をした。

 そんなに驚きつつ、  神田はよりいっそう心配そうな眼差しを送る


 「……(な…なんか暗い…暗すぎる…。話題を変えないと…)
 あ…えと、あの、さん」

 「…何だ」

 「ぇ……ぁっと…、何があったか、知りませんが…
 ケガ、しないように…してください…ね…。ぁ…ぁは;;」

 「…………あぁ」


 返事はしてくれたものの場の空気は変わらず…
 なんとか話題を切り替えようとしたアレンの願いも空しく、空振りに終わった…

 神田はそんなアレンを気にも留めず、を心配の眼差しで見ていた…






 「…………はぁ……。」

 「……?」


 ずっと見てくる神田に呆れたのかため息をついた


 「妙にリアルだったんだ。今日の夢は」

 「……やっぱり、それ気にしてたのか」


 「どんな、夢だったんですか?」

 「……」


 そう聞いてきたアレンに、は一瞬睨んだような表情をした


 「ぁ……す…すみません;」


 「………私が、…殺してた」

 「…何を?」

 「お前だ…。神田…」

 「っ!!?」

 「え…!?さんが…神田を!?」

 「正確に言えば殺してはいないと思うが…
 それ以前にあれは、暴走した私じゃなかった…」

 「…どういう意味だよ…それ」

 「私にもわからない…だから怖いんだ…。
 リアルな感じがしたのが…余計怖い」


 は俯いて今にも泣きそうな声で言った


 「……心配するな。もしそんな事があっても、
 俺は死なねぇよ。よほど殺す気でない限りな」

 「そ、そうですよ!この前僕と行ったマテールの任務の時も、
 医者に全治五ヶ月って言われてたのに
 たった3日で完治しちゃってたんですから!」

 「…………夢は夢…。私は、正夢にならぬことだけを祈りたい…」

 「「……」」


 励ましてみるものの、の苦しそうな、辛そうな表情は変わることはない
 それにつられてというわけではないが、二人の表情も暗くなる…


 「……お前達までそんな顔をするな。私なら大丈夫だ。
 アクマと交戦するときはちゃんと気持ちを切り替えるから」

 「…ならいいが…。任務が終わって教団に帰ったら、ちゃんと休めよ」

 「そうですよ。疲れとかストレスとか、溜め込んだら次の任務に響きますから」


 「フッ……」


 真剣に忠告するアレンの言葉には少し鼻で笑った


 「!?な…何か変なこと言いましたか…僕…」

 「いや…。神田とリナリーとコムイ以外で
 私にそんな風に言うのはお前だけだったから」

 「ぇ…」

 「人と会話したり、人の言うことを素直に聞いたりできてきて…
 私も、人という存在を受け入れてきてるということなのだろうな…
 数年前とは大違いだ…」

 「……」

 「…さん?」


 意外な所での笑みがこぼれたことに二人は少し驚いた…



 そうしているうちに汽車は目的地に到着した



 「着いたか。…何してる?
 早く出ないと寝てもないのに乗り過ごすぞ」

 「ぁ…あぁ」

 「それは、困りますね…」


 驚きが取れなかったのか二人は着いた事に気付いていなかった…



 三人は急いで汽車を降り、駅付近で待っているであろうファインダーの元へ向かう













 



07/07/16